校長 小林です。
GIGAスクール構想により学校に個人持ちのタブレットが入って久しくなります。子どもたちにとって今や特別なものではなく「普通の文房具」という感覚なのではないでしょうか。
コンピュータが便利なところは実際にはできないことや、やりにくいことが簡単にできることや何回も繰り返し行うことが容易なことです。特にシミュレーションはコンピュータにとって最も得意な分野と言えるのではないでしょうか。そんなことからタブレットでどんなことができる?ということが注目されていますが、一方で実際にやってみる、自分の目で確かめるといった活動も重要です。それはなぜでしょうか。そこにリアルな感動があるからだと私は思います。
下の写真は理科の授業で風やゴムの力で動く車の実験をしているシーンです。ゴムをかける本数やゴムを伸ばす長さで動く距離はどう変わるかということを確かめています。一連の実験の最後に25cmという「普通はしない」長さまでゴムを伸ばして車を走らせました。すると車は計測用に置いていた巻き尺の長さをはるかに超えて走っていき、子どもたちからは歓声が沸き上がっていました。
もう一つは2年生の水のかさの実験です。色水を移し替えたりして量感を養います。これもシミュレーションでやってしまえば簡単に何度でもできますが、重さも感じながらこぼさないように...と慎重に移し替えることで忘れられない実験となります。
私が2年生を受け持っていた時、「形の違う2つの容器のかさを比べるためには移し替えてみたらいい」という結論が子どもたちから出てきました。では実験を...ということになりましたが、見た目で容量が小さいと思われる容器から容量が大きいと思われる容器に移し替えるという意見と「その逆だと思う」という意見で割れました。「では」ということで量大→量小に移し替えてみることにしました。当然水は溢れるわけですが、そのまま注ぎ続け、見事に水は溢れて床が水浸しになりました。その瞬間、子どもたちからは悲鳴のような声が沸きあがりましたが、こぼれてビショビショになった事実は心に強く印象に残ったと思います。このような経験はシミュレーションではできませんね。五感で感じるアナログな学習と効率良くわかりやすいデジタルな学習、この二つを上手に組み合わせていきたいですね。