2026年8月アーカイブ

【トピックス】続・拍手が始まる、その前に。 

8月4日(火)

グランキューブ大阪で開催された中学校ダンス選手権西日本予選大会を応援してきました。                         全国の中学校ダンス部が目標とする大舞台の一つです。                                               

会場には独特の緊張感が漂っています。照明が落ちる。音楽が流れ始める。                                そしてステージいっぱいに広がる表現の世界。

学校ごとに作品の色はまったく異なります。あらためて感じたのは、ダンスにも吹奏楽にも、それぞれの流儀があり、それぞれの学校らしさがあるということです。

佐井寺中学校ダンス部の作品も、確かな「らしさ」を感じるものでした。幕が開いた瞬間から、どこか神秘的で、透明感のある世界が広がります。まるで舞台に光が生まれたかのようでした。

印象的だったのはフォーメーションです。整然としたシンメトリーの美しさ。そして、その均衡を崩しながら生まれるアシンメトリーの躍動感。相反するように見える二つの要素が自然に融合し、一つの作品として成立していました。

さらに見事だったのは、その展開の滑らかさです。一塊の動きから次の場面へ移る瞬間が実に自然です。                          隊形が変わる。人が動く。しかし、その変化が「移動」ではなく「流れ」として見える。                                まるで舞台上を風が吹き抜けていくようでした。

気が付けば景色が変わっている。気が付けば次の場面が始まっている。その連続に惹き込まれました。

もちろん技術面も見事でした。動きの始まりが揃う。終わりが揃う。視線が揃う。身体の角度が揃う。                            しかし、それ以上に心を動かされたのは豊かな表情です。時に凛として。時にやわらかく。一人一人が作品世界を丁寧に表現していました。遠くからでもしっかり認識できました。

一体感と優雅さ。その両方を感じる演技。そして終盤。作品はさらに熱を帯びていきます。最後のフォーメーション。最後の動き。最後のポーズ。音楽が止まりました。そして会場も静まりました。ほんのわずかな時間です。しかし、その静寂には言葉以上のものがありました。観客一人ひとりが、佐井寺中の作品を受け止めている。そんな空気が会場に満ちていました。                                                   そして次の瞬間、大きな拍手が湧き起こりました。

私の中には、今日もまだ、余韻が残っています。                                            吹奏楽部は、音で景色を見せてくれました。ダンス部は、身体で風を見せてくれました。                            どちらも、人の心を動かす表現の力を感じさせてくれる舞台でした。                                 吹奏楽もダンスも、表現の方法は異なります。音で空間を描く者。身体で物語を描く者。                                  競いながらも、多様な表現が認められる。私は、この文化そのものが素晴らしいと思いました。

そして何より、あの瞬間です。会場が静まり、まだ誰も拍手をしていない、ほんのわずかな時間。                                                私は、作品の価値が最も正直に表れるのは、その時間ではないかと思っています。

佐井寺中生、素敵です。Bravi!

なお、会場は撮影が禁止されていましたので、演奏・演奏本番の画像はありません。                                              つたない文章ですが、佐井寺中生の熱い挑戦を想像していただければ幸いです。     

DSC00006.JPG DSC00004.JPG                      

                                       校長 大江健規

【トピックス】拍手が始まる、その前に。 

演奏が終わった。演技が終わった。その瞬間、会場は静かになる。                                      そして次の瞬間、大きな拍手が湧き起こる。私は、その間にあるわずかな時間が好きです。                           最後の一音が消えていく時間。最後のポーズが空間に残る時間。誰もが作品の余韻を受け止め、                       その世界から現実へ戻ろうとしている時間です。それは、言葉より正直な時間かもしれません。                           うまく言葉にならないからこそ、静寂になる。その静寂の深さが、                                    作品の持つ力を物語っているように感じます。

この夏、吹奏楽部とダンス部のコンクールを応援しながら、そんなことを考えました。

8月2日(日)

吹奏楽部のコンクール出場を応援してきました。大きな舞台に向け、何度も音を重ねながら準備を進めてきた吹奏楽部。その成果が存分に発揮された演奏でした。                                                       私が特に印象に残ったのは、生徒たちの身体の使い方です。音色に合わせて自然と身体が動く。                         リズムに合わせて動こうとしているのではありません。音楽の流れが身体の中を通り、その響きが自然に表れているようでした。演奏者が音を追いかけるのではなく、音楽の中に身を置いている。そんな感覚です。だからでしょうか。耳を澄ませるたびに風景が広がり、曲が進むごとに場面が移り変わっていくようでした。ソロパートの表現も見事でした。技術を磨くことと、作品を届けることは同じではありません。                                         そのことを感じさせてくれる演奏でした。

コンクールですから結果は示されます。しかし、日頃の活動を知っている者としては、その価値は結果だけでは測れないと感じます。積み重ねてきた時間。磨いてきた感性。乗り越えてきた困難。そして、一つの作品を創り上げる過程。そうしたものすべてが、この日の演奏の中に確かに息づいていると感じました。

コンクール会場では、受付やアナウンス、パンフレット販売、出演団体の誘導など、多くの役割を高校生たちが担ってくれていました。運営する人がいて、支える人がいて、聴く人がいて、その日だけの空間が創り上げられていきます。その姿もまた、コンクールの大切な風景でした。

翌日には、吹奏楽部の皆さんが校長室まで来て、「応援ありがとうございました」とお礼を伝えにきてくれました。演奏はもちろんですが、そのような心配りにも、吹奏楽部の魅力が表れているように感じました。

あらためて、立派な会場を準備していただき、本校生徒にこのような機会を支えてくださった顧問の先生方、そして暑いなか応援に来ていただいた保護者の皆様には、心より感謝申し上げます。                                   日々の指導はもちろん、送迎や楽器の運搬など、多くの支えがあるからこそ、生徒たちは思い切り表現に向き合うことができます。

また、ダンス選手権前日には、ダンス部の皆さんも練習後に校長室を訪ねてくれました。                     本番用の髪型で、プラカードを手に、笑顔で登場。                                         「座席が後方になってしまった」と伝えると、                                                  「大丈夫です。校長先生まで届けます!」と力強く宣言してくれました。                                       その姿から感じたのは緊張感よりも、高い完成度の作品を届けようとする表現者としての高揚感でした。                  

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