4月8日(火)
春爛漫のよき日に、入学式・始業式を実施しました。2年生のみなさんが入学式準備と後片づけを
テキパキとしてくれましたので、ほぼ予定通りにスケジュールを進めることができました。
さて、いよいよ新しい年度が始まります。春休みの間には、特に大きな連絡は私のところにはありません
でしたので、それぞれが落ち着いて進級の準備ができたのではないでしょうか。
2,3年生のみなさんとは、3月の修了式で、令和6年度のみなさんの素晴らしい活躍をふりかえり、
「しかしまだまだ、ジャンプできる」と激励をさせてもらいました。
佐井寺中生の活躍に期待が高まっています。




始業式では、生徒指導主事の先生から、「心」についてのお話がありました。
私からは、新入生のみなさんに入学式でお話した「夢の国」について、2・3年生も
交えてお話をしました。式辞については学校だよりで紹介させていただきましたので、
始業式のお話は、このブログで紹介させてください。

「夢の国」では、そこで働く従業員を「キャスト」と呼ぶそうです。それは「『夢の国』は、単なる遊園地ではなく、ゲストに夢を届ける物語の世界であるべきだ」という創設者の熱い想いから、従業員一人ひとりが物語の登場人物として感動を創り出す役割を担っているからだそうです。
佐井寺中学校を物語の舞台だとすれば、生徒のみなさん、私も含めた先生たちは、佐井寺中の「キャスト」です。お客様でもないですし、脇役でもなければ、エキストラでもありません。みなさん一人ひとりが主人公です。今年度も、仲間や先生たちと共に、素晴らしい物語を作りあげて欲しいと思っています。
ここで1つ「夢の国」について、興味深いエピソードを知りましたので紹介します。
開園したばかりの「夢の国」で、成人式を終えた新成人を招待しようというイベントが企画されました。晴れ着姿のゲストが多く来ることが予想できたので、キャストたちは話し合いをして、水が跳ねて着物を汚してしまったり、アトラクションに裾を引っかけてしまわないよう、晴れ着でも乗車できるものと、乗車しない方がいいものが一目で分かる地図をつくり、入場ゲートで渡して差し上げましょうという計画を練りました。みなさんは、このエピソードを聞いてどう思いましたか?
ところが、この話を聞いた運営本部から厳しい指摘が入ったのです。「君達は長い時間をかけて何の相談をしているんだ。せっかくとびっきりのお洒落をして遊びに来て下さったゲストに対して、我々が遊んで頂きたいアトラクションに乗せない相談ばっかりしているじゃないか。水が掛かるなら、そういう着物を着たゲストには、肩からひざまで掛かるビニールのレインコートを作ってあげよう。裾が絡まってしまいそうなら、安全に座れるまでエスコートするキャストを増やしたらいいじゃないか。その地図をつくることは、本当にゲストに対する思いやりなのか。」
キャストたちはハッとして、「それは自分たちが責任を逃れるための地図だ。」と気づいたそうです。
プロの世界は厳しいですねぇ。運営本部の人が厳しく指摘したことは、相手への思いやりだという言い訳をして責任逃れをしようとしたこと、そして、最初から「無理だ」と決めつけて行動したことでした。こうやって「夢の国」のキャストは、「相手の気持ちに立った思いやり」や「難しい状況を乗り越えようとする柔軟な考え」を磨くことで、「夢の国」を特別な場所にしているのだと私は感じました。
みなさんはここまでの厳しさを求められることはありませんが、佐井寺中の「キャスト」として、このエピソードから学ぶことは多いのではないでしょうか。共に学校生活を過ごしていく仲間へ、相手の気持ちに寄り添った思いやりを大切にしてください。悩んだり、困っている様子に気づいたら、まずは、「どうしたの?」「何か力になれることはない?」と優しく寄り添ってみてください。また、困難な出来事にも、すぐに「無理だ」とせずに、柔らかく、創意工夫で乗り越える力を身につけていきましょう。
佐井寺中学校がみなさんにとって特別な場所になることを願っています。
校長 大江健規