5月の全校集会で、佐井寺中生のみなさんから「川柳」を募集しました。
約2週間少しの募集期間だったのですが、応募総数は85句。中には一人で21句も
投句した人もいました。内容もバラエティーに富み、癒し、学び、心地よさ、可愛さ
力強さ、風刺、などなど、17音を鮮やかにあやつり、いきいきとした川柳がたくさん生み出されました。
どれも素晴らしい作品でしたが、ここでは、国語科の先生方が選んだ川柳を、解説付きで紹介したいと
思います。生徒のみなさんの素敵な感性にも感動しましたが、国語科の先生方の読みの深さや鋭さにも
大変驚きました。さすがの専門性です。国語科の先生方からは、「川柳の鑑賞については、詠みと読みが
必ずしも同じとは限らない。詠んだ人の手を離れた後は、読む人に託される。そこも素敵なところ
なんです」と教えていただきました。さて、では、紹介をしたいと思います。なお、「教頭先生選」も
あるのですが、教頭先生がどうしてもご自身で説明をしたいということで、終業式まで発表はおあずけ
となっています。
「解釈によっては浮き輪に乗って、波に揺られている情景や、知らない場所でどのようにふるまうかという考え方など、多様な読みを誘発するものだと思われました。音節も拗音が使われているのに加え、韻を踏まれた擬態語が板挟みにされているので、リズム感が良いと思います。また『知らない場所』で『ゆらゆら』『ぷかぷか』がどういうことなのか、オープンエンドで締められているところも面白いと感じました。」
「花火が開く瞬間ではなく、上がる瞬間を取り込んだところが面白いと思いました。舞い上がった先で開くのは、明るく激しく咲く花でしょうか?それとも、せつなく儚げに散る花でしょうか?」
「私もよくずっこけます。気をつけているのにずっこけます。マンホールを『黒い罠』と表現したところに、キラリと光るものを感じます。」
「夏祭りが行われていて、家の外も自分も楽しい雰囲気。太鼓の音まで聞こえてくるかと思いきや、自分のお腹だったという、ポップで可愛い川柳だと思いました。」
なお、私はどうしても紹介したい句がもう一つあったので、主催者権限で「くせになる賞」を特設です!
「可愛がっている猫が、あお向きで寝ているという姿だけ想像しても、その場が安心感に満ち溢れていることが分かりますが、それを見ている飼い主の前で、目を閉じるなんて、どれだけ安心しきっているのだと、飼い主の深い愛情を感じて、癒され過ぎてしまいました。」
「何回も口に出したくなります。『ね』という音が、心地よいいリズム感を与えてくれます。教員の世界にも働き方改革が提唱されていますが、『もう疲れたから、あしたにして帰ろう』と言い合える関係、ホッとするその声かけや空気感、すごく安心感が生まれ、とても癒されます。『あわてない、あわてない、ひとやすみ、ひとやすみ』ですね。」
校長 大江健規