9月1日(火)
夏休みの名物といえば宿題。問題集、読書感想文、工作などを思い浮かべる方も多いかもしれません。 しかし、今年の3年生の英語科の宿題は、少し違いました。 テーマは「How can we save animals ?」 絶滅危惧種の動物を一つ選び、その現状や課題、そして未来へ命をつなぐための方策について英語でスピーチする動画を作成するという課題です。学習用端末を使ってカメラの前に立ち、自らの言葉で語ります。 3年生のみなさんが、どんな自分磨きの成果を見せてくれるのか、楽しみにしながら授業を参観しました。

授業では、まず互いの動画を視聴しました。ペアで選び、班で選び、そして代表10名を選出。 最後は全員で投票し、クラス代表の3作品を選びます。
最初は少し照れくさそうな空気もありました。ところが、時間がたつにつれて教室の空気が変わっていきました。「面白い」や「笑える」だけではなく、「すごいな」「工夫されているな」「わかりやすいな」「興味がわくな」などなど、そんな視点で見ていることが伝わってきました。
私が3年生のみなさんの年齢だった頃、いわゆる思春期という時期を思い出すと、「真面目に取り組むことを格好悪い」と、少しつっぱってしまうこともあった、そんな記憶があります。 しかし、この日、この教室には、そんな雰囲気はありませんでした。 真剣な作品には真剣な評価を。優れた作品には素直な敬意を。自分よりうまいところは参考にする。 時間が経つにつれて、心地よい空気が自然に流れはじめたことに、大きな成長を感じました。

どの動画も実に個性的でした。字幕を工夫している、タイミングよく画像を挿入している、視線やジェスチャーを巧みに使う、学習した文法や構文を丁寧に活用している、難しい単語を並べるのではなく「伝わること」を優先して表現を選んでいる。そして何より、画面の向こうにいる相手へ語りかけようとする姿勢。 英語科はテストのためだけの教科ではありません。人と人をつなぐためのコミュニケーションの教科です。選ばれた作品には、それぞれに選ばれる理由がありました。3年間積み重ねてきた英語の学び、表現する姿勢が、しっかりと形になって表れていました。さすが3年生です。

授業終盤、代表10名の作品を全体で視聴した際には、教室はさらに静かになりました。誰ひとり騒ぐことなく画面を見つめています。不思議なものです。人を惹きつける作品には、やはり選ばれる理由があります。英語力だけでは説明できない魅力。「どう伝えるか」という思いの強さが伝わってきました。
この日は、市役所で動物愛護に関わる担当部署の方をゲストティーチャーとしてお招きしました。 厳しい暑さの中、本校まで足を運んでくださったことに感謝申し上げます。担当されている部署では、動物愛護の推進だけでなく、動物の引き取りなど、私たちが普段あまり目を向けない現実とも向き合っておられます。生徒のみなさんは静かに耳を傾けていました。ホンモノの現場で働く方が語る言葉は、重みが違います。そして講評では、生徒たちの発表内容と授業に向かう姿勢への大きな賛辞をいただきました。さらには英語を使って褒めてくださる場面も。生徒のみなさんにとって忘れられない励ましになったのではないでしょうか。 「これからも考え続けてほしい」。そんな願いのこもったメッセージもいただきました。


さらにうれしいお知らせがあります。市役所ロビーで開催される動物愛護週間の展示において、本校代表生徒のプレゼン動画を上映していただけることになりました。 学びを教室の中だけで終わらせない。社会へつなげる。発表の場を与えていただいた吹田市役所の皆様に、心より感謝申し上げます。
そして最後に、この課題を設定し、生徒たちの学びをここまで高めた英語科の先生方にも拍手を送りたいと思います。英語を学ぶことと社会問題について考えること。ICTを活用することと自分の考えを発信すること。それらを一つの学習活動として結び付けた見事な授業でした。
自分の考えを磨き、表現を磨き、他者を認める力を磨く。 やはり英語科の夏休みの宿題は、単なる宿題ではありませんでした。 英語力を磨く宿題。表現力を磨く宿題。思考力を磨く宿題。そして何より、自分自身を磨く宿題。
その成果を、私は確かに見ることができました。
校長 大江健規













校長 大江健規


