7月13日付け、そして7月20日付けの7面。
日本教育新聞に、北山田小学校の「業間下足掃除隊(ピカピカ隊)」の取組が2週連続で掲載されました。
「掃除隊が新聞に載ったんですね!」
そう言われることが多いのですが、僕は少し違う見方をしています。
新聞社が取り上げたのは、掃除そのものではありません。
そこにある「子どもが主体となって学校をつくる文化」だと思っています。
始まりは、たった2人の6年生
この活動は、6年生2人の「下足エリアをもっときれいにしたい」という思いから始まりました。
先生に言われたわけではありません。
委員会活動でもありません。
自分たちで課題を見つけ、自分たちで仲間を集め、自分たちで活動を始めました。
この姿こそ、僕たちが学校で育てたい姿です。
だからこそ、「素晴らしい活動がありました」で終わらせたくありませんでした。
教育界の全国紙に取材してもらえれば、この行動の価値を子どもたち自身が実感できる。
そう考えて、僕から新聞社へ連絡しました。
そして1回目の記事では、その挑戦が大きく紹介されました。
でも、本当に価値があったのは、その後でした。
活動が広がるにつれて、隊員は40人から80人へ。
順調に見えました。
ところが、徐々に参加が減ってきたのです。
そこで、まず考えたのは、
「子どもたちは、この課題をどう見ているのだろう。」
ということでした。
子どもたちは、原因を見抜いていたのです。
「週4日も活動していると続きにくいのかも」
「スタンプカードをやめたら参加がものすごく減ったから、やっぱりスタンプカードは必要かも」
「活動日が分かるような宣伝、周知がひつようかも」
そんな分析を始めたのです。
僕は驚きました。
「参加者が減った」という現象だけではなく、
その背景にある構造まで見ようとしていたからです。
そして、
「もっと続けたくなる仕組みにしたい。」
「掃除する意味が伝わるようにしたい。」
そんなアイデアが次々に出てきました。
課題は、失敗ではない。
教育では、どうしても「成功事例」が求められます。
うまくいった。
成果が出た。
参加者数が増えた。
もちろん、それも大切です。
でも、本当に価値があるのは、
課題が見つかったことではないでしょうか。
課題が見つかる。
その課題を自分たちのものとして受け止める。
原因を考える。
仲間と対話する。
試行錯誤する。
また改善する。
このプロセスこそが、本物の学びです。
学習指導要領において「学習の基盤となる資質・能力」として、言語能力や情報活用能力と並んで、問題発見・解決能力が挙げられていますが、まさに6年生2人が身に付けているのがこの「問題発見・解決能力」なのです。
だから僕は、今回の記事で「参加者が減った」という事実が掲載されたことを、とてもうれしく思いました。
「うまくいっています」という美談ではなく、
子どもたちが課題に向き合っている姿そのものが評価されたからです。
学校は、毎日がチャレンジの連続です。
子どもも大人も、うまくいったり、うまくいかなかったりを繰り返しながら成長しています。
だから僕は、学校の姿を発信するときも、成功だけを伝えようとは思いません。
むしろ、
「今、こんな課題があります。」
「子どもたちがこんなことを考えています。」
そんな"現在進行形"の姿こそ、多くの人に知ってもらいたいと思っています。
その姿を見た誰かが、
「うちでもやってみよう。」
「子どもって、こんなことまで考えられるんだ。」
「だったら自分はここの部分で支えられそうだ。」
そう感じてくれたら、それだけで学校の価値は社会へ広がっていきます。
「自分の学校は自分が創る」
掃除隊の活動は、その言葉を形にした一つの実践です。
学校は、先生だけがつくるものではありません。
子どもも、保護者も、地域の方も、それぞれが当事者として関わることで、学校は少しずつ変わっていきます。
今回、日本教育新聞が2週連続で取り上げてくださったのは、「掃除隊」という活動ではなく、その根底に流れる学校文化だったのではないかと感じています。
「子どもを信頼する」
子どもを信じて任せる。
そして、子どもが持つ本来の力を発揮できるように一緒に考える。
そんな学校が一つでも増えたら、日本の教育はもっと面白くなる。
そう信じています。
