入学式後の保護者へのお話

入学式後、1年生の保護者の皆さんに以下のお話をしました。

改めまして、校長の福井将人です。

本日はお子様の入学、おめでとうございます。

私からは、今年度の学校経営方針と保護者の皆様へのお願いを少しだけお話させていただきます。

突然ですが、全国の子どもたちがどのような状況にあるかというと、不登校や自殺者の人数が毎年過去最多を更新し、18歳の意識調査では、民主主義の国であるにも関わらず、自分の行動で国や社会を変えられると感じている人数の割合は約45%という結果で、諸外国と比較しても大きく下回りました。このままでは、日本と言う国自体を持続させることがかなり難しいだろうと非常に危機感を持っています。

これは、子どもの「主体性」と「当事者性」を育めていないことが要因の一つであり、学校教育の在り方を変えていかなければ、この状況は一向に良くなることはないと考えています。

そこで、本校では、2つの取組を進めていくことにしました。

取組の1つ目は、子どもたちが指示されたことに取り組むという旧来の教師主導の教育から、子どもが自分で考え、判断、行動し、自分とは異なる様々な人と協力して何かを創り出すような、子ども主体の教育に変えていくことです。

そこで、昨年度までの学校教育目標「自立・協働」を今年度「自律・協働・創造」に変えました。律するの「律」の「自律」は、自分で考え、判断し、行動するという意味があります。また、何のために「自律」し、「協働」するのかというと、新たに何かを創り出すためであることから、「創造」を加えています。

この学校教育目標実現を目指し、子どもたちの「主体性」と「当事者性」を育むため、我々北山田小学校の教職員は、子どもたちへの関わり方を変えていこうとしています。どのように変えていくかというと、「ああしなさい、こうしなさい、あれするな、これするな」という「指示、命令、号令」から、「どうしたい?」「何のため?」「それでいい?」というような「問いかけ」中心への変更です。

続いて、取組の2つ目ですが、ここでは保護者の皆さんへの提案も2つあります。

保護者であれば、当然「自分の子どもによりよく育ってほしい」という願いを持たれていると思います。北山田小学校は、この北山田の地域にある地域の学校です。子どもたちは将来の地域の担い手であり、学校や地域で多くの仲間とともに成長します。「人は人によって人になる」と言われるように、周りの子どもが育てば自分の子どもも育ちます。ですので、保護者の皆さんには、お子さん以外の子どもたちの成長をサポートしてほしいと考えています。

そこで、今年度から北山田小学校では、「サポーター」と言う取組を始めます。自分の子ども以外の子たちを育てるために、「保護者」という名前を捨て、北山田小学校のすべての子どもたちの「サポーター」として自分の意志で主体的に学校に来られませんか?これが提案の1つ目です。

「サポーター」は困っている子どもの横にいて、3つの声かけをするだけで大丈夫です。

①「大丈夫?」

②「何に困っているの?」

③「私にできることはある?」

このように声をかけてもらえば、どうしてほしいかを決めるのは子どもであり、主体性を育むことにもなります。あれこれと気を回して大人の都合で良かれと思うことをどんどんやろうとしなくて大丈夫です。そうすると、逆に子どもの主体性を奪うことになります。

子どもによっては、こんな言葉をかけてもらったことのない子もいますから、慣れるまで少し時間がかかるかもしれません。でも、そのうち、子どもから声をかけてきて、困っている子が困らなくなる環境が創り出されます。学校の中に「困る子」をつくらないことが、すべての子どもの学ぶ権利を保障することになり、それは、学校教育目標の実現に繋がります。そして、子どもが未来の社会を創ることにも繋がるのです。

詳細については、後日、改めてお知らせしますので、是非、自分の子どもの成長のため、「サポーター」として、自分の子ども以外の地域の子どもを育て、学校から社会を変えていきましょう。

そして、この考え方に基づき、2つ目の提案です。少しきつく聞こえるかもしれませんが、子どもたちのことを真剣に考えての提案ですので、お聞きください。

それは、「文句」は受け付けないということです。

「文句」には、その先に向かおうとする目標がありません。ですので、「主体性」や「当事者性」のない、ただの「文句」は校長として一切受け付けませんし、そのような無責任な「文句」を保護者同士のLINEなどで回すようなことは絶対にやめてください。その姿を子どもたちも見ています。目標に向けた、建設的な「意見」には、発言に対する責任も行動もついてきます。地域のこどもは、学校だけでなく、地域とともに育むべき存在です。「意見」であれば、耳の痛い話でも校長として、しっかりと聴き、共に考えていきます。

行動すれば失敗はつきものです。でも、失敗は、やり直せば成功体験になります。だからどんどんチャレンジしてほしい。失敗を許さないような不寛容な社会をつくる大人にはなってほしくないし、失敗をやり直して社会を創る力につなげてほしいので、今日、子どもたちにそれを伝えました。そのためには、我々大人が手本になる必要があると考えています。

長くなりましたが、未来を担う子どもたちのより良い成長のために、是非、よろしくお願いします。

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このページは、ウェブ管理者が2025年4月 7日 16:19に書いたブログ記事です。

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