11月14日(金)
「見えないものを見ようとして」――今日はそんな挑戦が理科室で繰り広げられました。材料は牛乳パックと虫眼鏡と老眼鏡。担当の先生が時間をかけて班の数だけ準備した即席の天体望遠鏡を使って、光とレンズの謎を解き明かす実験です。


珍しい実験道具に興味津々の1年生のみなさんは、互いに顔を見合わせたり、遠くの班を覗いたり、理科室からグラウンドを眺めたりしながら、楽しそうに試していました。「大きく見える?」「反対?」「どうなってるの?」とつぶやきが飛び交います。途中、先生が大きなヒントとして「対物レンズだけだったらどうなるのか」と問いかけると、別の自作実験道具が登場。まるでネコ型ロボットのアニメのように、次々と道具が現れる展開に、生徒のみなさんの目がさらに輝きました。


実際に望遠鏡を覗いたときに起こった現象を「なぜそうなるのか?」と紐解くため、生徒のみなさんは作図をしながら光の進み方とレンズの関係を考え続けます。難易度の高い課題に最後の1分まで粘り強く取り組む姿、本当に見事でした。前で作図を発表した仲間に「すごい!」と感嘆の声が上がった瞬間、理科室全体が一体となったように感じました。「おお!」という声があちこちで上がるたび、探究心がさらに加速していきます。


この授業は、市内で勤務する初任者の先生方への師範授業という位置づけでした。師範授業を担うということは、これから教育界を支える先生方が「目指したい」と思う授業を示すということです。そこに選ばれたということは、担当の先生が普段から授業づくりに真剣に取り組み、生徒のみなさんの学びを大切にしてきた証です。緊張感の中で、ここまで生徒主体の学びを成立させた力量は本当に見事でした。
牛乳パックから始まった宇宙への旅は、星空だけでなく、生徒のみなさんの心にも輝きをもたらしました。科学の原点である「なぜ?どうして?」という問いを最後の1分まで追い続けた生徒のみなさんに心から拍手を送ります。そして、担当の先生にも最大級の賛辞を贈ります。
校長 大江健規
