9月17日(水)
今日は、始業式や学校だよりで紹介した「ライオンのパラドックス」について、うれしい報告があります。
なんと、2年生の生徒2人がこの難問に挑戦してくれました!
その解説がとても面白く、深く考えられていたので、ぜひ紹介したいと思います。
まずは、どんなお話だったかというと――森の中で空腹のライオンに出会ってしまった探検家。今にも襲われそうになったそのとき、ライオンは言いました。「助かるチャンスをあげよう。今、俺が考えていることを当ててみろ。もし当てることができれば助けてやろう。」探検家はしばらく考え、「あなたは今、私を食べようとしていますね」と答えます。するとライオンは急に悩み始め、頭を抱えてしまいました。
こうして探検家は無事に助かることができたのです。なぜライオンは頭を抱えてしまったのか――というお話です。ライオンが悪者のように描かれていますが、そういう設定ということでご容赦ください。ちなみに「パラドックス」とは、一見すると単純のように見えるが、よく考えると矛盾や逆説、深い意味や論理的な問題を含んでいる考え方や題材のことを指します。
<解説1人目>
①ライオンが「食べよう」と思っていたら、ライオンは実際に「食べよう」と思っているので、探検家は正解となり助けなければならないので、ライオンは食べられない。②ライオンが「食べる以外」のことを考えていたら、探検家は間違えたことになるが、ライオンは「食べようとしていない」わけなので、食べられることはない。①②どちらにしてもライオンは探検家を食べることはできないので、頭を抱え込んでしまい、探検家は助かった。
⇒とても論理的です。場合分けをして、2つの可能性を明確に分けて考えています。「どちらにしても食べられない」という結論は、パラドックスの本質をしっかり捉えています。思考の分岐を整理した力に拍手!
<解説2人目>
ライオンがもし本当に「食べよう」としていたら探検隊はの答えは正解となり、助けてもらうことができる。しかし、ライオンが探検家を逃がしてしまうと、探検家が不正解となるため、探検家を食べることができる。だが、食べるとなると探検家が正解したことになるので、ライオンは探検家を逃がさないといけない。答えが永遠に分からなくなってしまい、ライオンは混乱してしまった。
⇒こちらは感情的・直感的なアプローチですが、「永遠に答えが分からなくなる」という混乱の描写がユニークです。ライオンの立場に立って「どうすればいいか分からなくなる」という視点は、哲学的な深みを感じさせます。混乱の構造に注目した感性に拍手!
今回の2人の挑戦は、「正解かどうか」を問うただけではありませんでした。それぞれが、自分の頭でじっくり考えて、どうすればライオンが困るのかを探った "考えることそのものを楽しんだ" 姿。「もしこうだったら...」「でも、そうすると...」と、頭の中でぐるぐる考える時間にこそ、 "思考の力" が育まれます。2人の考えには、論理だけでなく、ひらめきや想像力、そしてちょっとした哲学の香りまで感じられました。授業などの学校生活のなかで、 "考えることをじっくり楽しむ時間" を大切にしてほしいと思っています。
そして、校長室前には、次の "考えるお題" をそっと掲示しておきました。さあ、次にライオンを悩ませるのは、あなたかもしれません。