9月9日(火)
今日は、1年生の技術科「木工・本棚づくり」の授業を参観しました。教室に足を踏み入れた瞬間、非常に整った作業環境に驚きました。工具の配置、動線の確保、安全掲示...まるで小さな工場のよう。工場内に「環境整備は安全の第一歩」と書かれているのを見たことがありますが、まさにその実践。学習環境の整備はキャリア教育にもつながる大切な要因です。
また、今回の課題は、余暇や趣味のDIY(Do It Yourself=自分で作る楽しみ)にもつながる内容であり、QOL(Quality of Life=生活の質)を高めることにも直結する授業だと感じました。自分の手で何かを作る力は、人生をちょっと豊かにしてくれる魔法のようなものです。
「整った学習環境は、整理された力につながる」という言葉を、以前先輩教員から教えてもらったことがありますが、まさにその通り。生徒のみなさんは、きびきびとしたあいさつで授業を始め、先生の説明を聞く姿勢も素晴らしく、顔を上げて静かに集中。作業が始まると、誰一人手を止めることなく、全員が能動的に活動している様子は圧巻でした。ヤスリの使い方ひとつにも個性が出ていて、「削りの美学」を感じるほど。機材の扱いも安全意識が高く、安心して見守ることができました。
授業を担当された先生は、まるで"教室のマエストロ"。温かい眼差しで生徒のみなさんの様子を見守りながら、全てを掌握する懐の深さと緻密な授業マネジメント力で、見事に指揮されていました。板書の美しさ、作業動線の設計、備品管理、タイムマネジメント、そして個別の声かけの的確さ...どれをとっても見事。授業終了3分前には、またシャキッとした雰囲気に戻る生徒のみなさんの姿に、「技術の授業というオーケストラ」を見ているような気持ちになりました。
何より、作業に向かう生徒のみなさんの真剣な眼差し、その輝きが素敵でした。木の香りに包まれながら、自分の手で何かを生み出す喜び。その姿に、未来の職人、クリエイター、そして休日にホームセンターでワクワクする大人の姿が重なりました。ちなみに私も、ホームセンターに入店すると、気づけば30分・・・ いや、1時間経っていたこともあります。
欲を言えば、グループで進捗を確認し合ったり、作業計画を立てて納期を意識したり、遅れがあれば話し合うという「確認の場面」があると、キャリアスキルや対話的な学びが、より深まるのではと感じました。
この授業は、生徒一人ひとりのキャリア形成や、日常生活を豊かにする力を育むことにもつながると感じました。ものづくりを通して得られる達成感や工夫する力は、将来の選択肢を広げるだけでなく、暮らしの中に彩りを添える大切な学びです。
...ということで、私も本棚づくりに挑戦してみようと「材料を買って帰るね」と電話をしましたが、家族から「どこに置くの・・」と言われてしまいました(泣)どうやら、環境整備は我が家でも安全の第一歩のようです。1年生のみなさん、完成したら私に寄付を(笑) 校長 大江健規