9月10日(水)
今日は、3年生の理科「浮力」の授業を参観しました。
「夢の国」がついに海へ!?「夢の国ランド」「夢の国シー」に続き、なんと「夢の国クルーズ」の計画が進行中とのニュース。新規事業として3330億円を投じ、2028年を目途に14万トン級の豪華客船を建造中とのことです。就航すれば、日本籍船としては史上最大とのこと。夢がふくらみ、「3年後、クルーズ、どう?」と家族に提案しましたが、費用が一人10万円~30万円という情報を知り、なが~い沈黙が生まれました。「旅立つには、先立つもの」が必要ですね。よし、がんばって働こう!
授業の冒頭、担当の先生が豪華客船の画像を提示し、「なぜ浮くのか?」と問いかけました。世界の豪華客船重さランキングでは、1位が「アイコン・オブ・ザ・シーズ」(約25万トン)、以下「ワンダー・オブ・ザ・シーズ」「ユートピア・オブ・ザ・シーズ」(約23万トン)と続くそうです。(「オブ・ザ・シーズ」って、必ず付けるのでしょうか??)その大きさ、重さ、豪華さを想像すると、ますます「なぜ浮くのか?」という問いが深く突き刺さります。
さあ、「ものを浮かせる力」の授業が始まります。「え?木でできてるから?」「空気が入ってるから?」「水面にくっついているから?」などなど、生徒たちは頭をひねりながら考え始めます。なかなか理由にはたどり着きません。そう、3年生の学習課題は、そんなに簡単ではないのです。
授業の途中では、「浮力」「水圧」「重力」「質量」などの専門用語が次々登場し、教室には「???」が漂い始めます。中には、夢の国のクルーズどころか、夢の中へ旅立ちそうな生徒もちらほら......(がんばれ!)。
でも、ここからが3年生のすごいところ。ペアワークでの対話を重ねるうちに、少しずつ霧が晴れていきます。「水から受ける力があるんだ!」「浮くってことは、下から作用する力が大きい?」と、言葉が図になり、図が理解になっていく瞬間が、教室のあちこちで見られました。
担当の先生は、答えをすぐに教えるのではなく、「どう思う?」「このデータから何が言える?」とヒントを出しながら問いかけ続けます。3年生を信じて、考える時間をたっぷりとるその姿勢に、私は心から拍手を送りたいと思いました。今日の授業は、実験ではなく、測定値を使って深く考えるタイプの内容。計算は単純な引き算ですが、イメージを言葉で説明するのが難しい。3年生にとっても、担当の先生にとっても、「挑戦する授業」となっていきました。「あきらめずに!」「もうひといき!」「そこに気づけ!」私は、何度も心の中で3年生を応援しました。
授業はまとめの時間になり、「ものが浮く仕組み」について、重力と浮力の関係、そして体積と浮力の関係を整理していきます。すると、先ほどまでなかなか筆が走らなかった生徒も、何やら図や矢印でまとめ始めました。しっかり理解が深まった人も、まだなんとなくのイメージしか持てなかった人も、それぞれのペースで学びを進めていました。
学びは「朝の連続ドラマ」と同じです。単元というストーリーの中で、粘り強く、あきらめずに取り組めば、物語は必ず動き出します。そして、誰にもそれぞれの名シーンが訪れるはずです。
さて、では最初の問いです。「なぜ船は浮くのか?」
残念ながら、今日の授業参観では、私が納得できる明確な理由をつぶやいている生徒を見つけることはできませんでした。しかし、3年生のみなさんの「問いに向かう力」「仲間との対話力」、そして担当の先生の「信じて待つ力」が、「学びを浮上させる力」につながると、私は確信しました。
続く猛暑、行事への取組、疲れもたまってきているこの時期。夜は、深い休養で頭脳と身体を休めて、学校生活では互いに "上向きの作用" で支え合いながら、「学びの浮力」を発動させましょう!
校長 大江健規