10月2日(木)
本日、3年生の数学の授業を参観しました。テーマは「体育大会のリレーにおけるバトンパスを、放物線と直線のグラフを用いて数学的に考える」という、実に興味深いもの。生徒たちは、交わるとき、接するとき、交わらないときのグラフの状態をイメージしながら、リレーのバトンパスの最適なタイミングを探っていきました。
ワークシートに向かうだけでなく、学習用端末を活用してグラフを操作し、第一走者と第二走者の速さが変わらない(比例定数が同じ)という前提のもと、どのようなグラフの関係性が「スムーズなバトンパス」につながるのかを考察。第二走者は何メートル前に走り出せばよいのか?という問いに対して、座席を自由に移動しながら、グラフとにらめっこし、仲間と対話を重ねる姿が印象的でした。
教室の座席配置も、縦横の固定された形ではなく、対話しやすいように自由に並べられており、少人数授業の利点が最大限に活かされています。教室のどこを見渡しても、数学の話が聞こえてくる。専門用語も自然に飛び交い、まさに「数学的な思考」が教室全体に広がっていました。
途中、「このタイミングで先生用端末がアップデートするのか...」というハプニングもありました。公開授業ということもあり、多くの参観者が見守る中、担当の先生は汗だく。しかし、教室の学びの雰囲気はそんなことでは揺らぎません。生徒たちは自分たちの問いに向き合い、学びを止めることなく進めていました。
欲を言えば、もっと端末でグラフを操作する時間があってもよかったかもしれません。視覚的な理解は、数学の世界をより身近にしてくれます。
このユニークな課題を授業に取り入れ、教室に「数学でリレーを語る」という新しい風を吹き込んだ数学科の先生の創意工夫と挑戦には、心から敬意を表します。そして何より、生徒のみなさんの姿が素晴らしかった。問いに向き合い、仲間と語り合い、グラフと格闘しながら、自分の考えを深めていく姿は、まさに「学びの主人公」。その集中力、粘り強さ、そして楽しそうな表情に、私は心から感動しました。
この授業は、数学の力だけでなく、生徒主体の授業の素晴らしさを、あらためて感じさせてくれるものでした。お疲れ様でした。
校長 大江健規