9月27日(土)
文化総合発表会を終えたばかりの週末。男子バスケットボール部の公式戦を応援に行きました。部員のみなさんは、文化総合発表会の疲れも感じさせない、パワフルなプレーをたくさん見せてくれました。事前に顧問の先生から、「けが人もいる中で、万全なチームコンディションとは言えない」と聞いていたのですが、接戦を粘り強く戦い抜きました。新チームとしてのスタートを切ったばかりだとは思いますが、試合を通して一人ひとりの成長が感じられ、これからの可能性をしっかり感じることができました。ナイスゲームです!
さて、今週は女子バスケ部の試合を見て、続いて男子バスケ部を観戦しました。私はバスケは素人なのでなんとなくですが、「パスを投げる」ことと同じくらい──いや、それ以上に「キャッチする」ことが難しいなあと思いました。
投げる側は自分のタイミングでボールを放つことができますが、受ける側は相手のスピードや角度、タイミングに合わせなければなりません。強すぎても、ずれていても、キャッチはできない。つまり、ただ投げればいいわけではなく、受け止める力があってこそ、パスは生きる。そして、受ける技術をしっかり身につけてこそ、投げる側になったときにも、受け手の気持ちを思いやることができる。磨くべきは "キャッチ" なのではと感じました。
この「受ける技術」は、実はとても重要ではないでしょうか。野球のキャッチボールでは、送球に対してグローブの位置やタイミングがずれるとボールはこぼれます。バレーボールのレシーブでは、相手のサーブやスパイクの威力とコースを瞬時に判断しなければなりません。サッカーのトラップも、足元でボールをしっかり止めて、さらには次のプレーにつなげるための準備も求められます。どれも、受ける側の集中力と判断力、そして経験がものを言う場面です。
武道でもまずは「受け身」からです。柔道や剣道では、受けがしっかりしていないと大きなケガにつながります。自分の身を守るだけでなく、相手との技のやりとりを成立させる大切な要素です。
吹奏楽もまた、少し違ったかたちで「受ける力」が求められます。それは、仲間の音を聴き、タイミングや音色を合わせる「聴き合う力」「合わせる力」です。単独で上手に吹けるだけではなく、全体の響きを感じながら演奏することで、ハーモニーが生まれます。音楽もまた、個ではなく「つながり」で完成するものなのです。
これらは学校生活や日々のコミュニケーションにもつながります。自分勝手に「パス」を出しても、強すぎたり方向が違ったりすれば、相手には届きません。まずは相手の声や気持ちを受け止める力。そのリアクションがあるからこそ、次のやりとりがスムーズにつながります。
さて最後に余談です。「受ける」といえば、つい思い出してしまった私の趣味の話をさせてください。── プロレス観戦です。実は佐井寺小学校の教頭先生とはこの話題で盛り上がることがありまして、昔の試合を見返すのが密かな楽しみです。派手な技を決めるレスラーに目が行きがちですが、実はそれをしっかり「受けきる」相手がいてこそ、試合は成立します。技をきれいに見せる受け方、ケガをしない受け方、そして観客を引き込む間の取り方──それらすべてが「受けの美学」。プロレスは、ただの力比べではなく、受ける側が技を芸術に昇華させることで、エンターテインメントとして完成する。...と、教えてもらいました。(受け売りですいません)
もちろん、これは身体を鍛え抜いたプロの技術によって成り立っているものであり、絶対に真似してはいけません。ここはしっかり伝えておきたいところです。
...ついついマニアックに熱く語ってしまいました(笑)。同じ趣味の人以外は、少しピンとこないかもしれませんが、佐井寺小の教頭先生なら、きっとこの話に深くうなずきながら「ダァー!」と叫んでくれることでしょう。
校長 大江健規