冷夏の開少年 最終回

九州周遊旅行もいよいよ最終章です。

 国鉄高千穂線も当時高さ日本一を誇った高千穂鉄橋を擁するローカル線で、鉄道ファンあこがれの路線でした。その高千穂鉄橋を渡ってすぐの駅が天岩戸駅、つまり天照大神が隠れたという神話のあの天岩戸です。我々が列車で高千穂鉄橋を渡っている最中、鉄橋の下から、「おかえりなさ~い!」と手を振る人たちがいます。また、駅に降り立った私たちを「おかえりなさ~い!」と迎えてくれる人もいました。何を隠そう本日の宿泊地、高千穂ユースホステルのスタッフの皆さんでした。この日が私の人生でのユースホステル初体験! 我々は別々の8人部屋に案内され、それぞれ全く知らない人たちと同じ部屋で寝ることになりましたが、どちらもすぐに打ち解けて、みんなでワイワイガヤガヤ。夕食後は近くで花火大会があるからと宿泊者ほぼ全員で出かけ、花火を見ながらワーワーキャーキャー。花火の歌に合わせて踊りだす始末。

 翌17日は、「いってらっしゃ~い!」の見送りを受けながら、終点の高千穂まで列車に乗りましたが、2005年の台風で被災して、復旧を断念した第3セクターの高千穂鉄道は全線で廃止が決まりましたので、それが私の最初で最後の乗車となりました。高千穂からはバスで県境を越え熊本県の高森駅へ向かっていたところ、到着を間近にして、商店街の祭り神輿に出会い、バスは立ち往生を余儀なくされました。何とか高森駅から列車に乗り、阿蘇の外輪山を取り囲むように移動して阿蘇駅からはバスで阿蘇登山。途中の草千里では放牧の牛が群れで道路を横断しているところに出くわし、バスが横断待ち。今回の旅行では、渋滞に神輿、果ては牛の横断でバスが立ち往生してばかりと2人で苦笑い。阿蘇の雄大な火口まで登った後は、豊肥本線で大分へ。23:13大分発の特急彗星52号で帰阪し、18日の朝、2人はそれぞれの自宅へ戻りました。

 長くなってしまいましたが、夏休みのほぼ半分を費やした開少年の冒険はこれでおしまいです。高校受験のうっ憤を晴らすかのような、ワイルドというか、むしろ無謀と言った方がぴったりする高校1年生の夏は幕を閉じました。今から考えれば、ここはああしておけばよかったとか、そこは違う方法の方がよかったなどと、様々な反省がありますが、当時の開少年にはこれが精一杯でした。長い文章を最後までお付き合いいただきありがとうございました。

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高さ日本一の高千穂鉄橋から見下ろした高千穂ユースホステル

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高千穂駅と2日前の平戸口駅(日本最西端、長崎県)の入場券

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阿蘇の南、高森駅の入場券

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蒸気を上げる、阿蘇の山の火口。近年は火山活動が活発で、火口まで登山できないことが多いようです。

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帰りの特急券。当時は日本全国に夜行列車がたくさん走っていました。

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周遊旅行で使用した九州周遊券。20日間乗り放題です。

 

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このページは、ウェブ管理者が2020年7月24日 18:00に書いた記事です。

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