(日常に戻った開少年に起こった出来事とは・・・・)
(12月9日の続きです)
冬休みも終わって、3学期も始まり、初日の出ツアーのことなど忘れて、開少年はいつも通り授業とクラブの毎日を送っていました。そんなある日、学校から帰宅した少年のもとに1通の封書が届けられていたのです。封筒の裏を返すと、差出人の名前がありません。
記憶の片隅に追いやっていたものがよみがえってくるのを感じながら、封筒ののりしろを剥がして開封すると、中から便箋と切符が出てきました。
そう、深夜の急行きのくに15号でひと時を共にしたあの素敵な女性が、約束をしっかりと守ってお手紙をくださったのです。言葉にならないくらいの嬉しさをかみしめて、一文字一文字を拾っていきました。
列車の中で約束した切符を送ること、今後も旅行したら切符を送ってくださること、そして旅先で機会があればまた会いましょうということが、きれいな字でしたためられていました。署名は「あなたのキップ集めに協力する女より」と・・・・・。
(送って下さった切符2枚)
あの日から42年目の年末年始をまもなく迎えようとしていますが、コンタクトがあったのはこの手紙1枚だけで、その後再会したことも手紙を交わしたこともありません。当時テレビで放送されていた、以前出会った人を探してくれる番組「プロポーズ大作戦」に応募しようかと真剣に考えたこともありましたが、面倒だったのか勇気がなかったのか、思いを行動に移すことはありませんでした。
中学生に授業をする仕事についてから、1年生の12月の教科の最後の授業や道徳の授業では、毎年のように生徒たちにこの内容を話し続けてきましたが、そんなチャンス(話の種)を与えてくださったあの素敵な女性に今でも感謝の気持ちでいっぱいです。(完)
(住所を知らせるため女性に渡したネームタグ)
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