漂泊の思ひやまず(続編)パート2

続編の続きです

深夜の大富豪ゲームは、1回ごとに大富豪から奴貧民へと席替えのあるゲームとなり、8人が入り乱れてワイワイガヤガヤ。左右2つの向かい合ったボックス席の間の通路に少年のスポーツバッグを置き、その上に分厚い時刻表を載せてトランプを置くゲーム台として使っていました。夜行列車なので眠っておられる他の乗客の迷惑になっていたかもしれません。ごめんなさい。

御坊、紀伊田辺、白浜と、夏には多くの人でにぎわう観光地を横目に、急行はただひたすら深夜の紀伊半島を走り続けます。男性のうち1人が紀伊田辺で下車するというので、少年は男性について行き、24分という長い停車時間を利用して途中下車を試みました。その男性が紀伊田辺まで使った急行券を駅員さんに頼んでもらい、譲り受け、切符売り場の窓口へ行って11日付の入場券を購入しました。そうなんです、私は今でいう「電車オタク」でした。

再び改札を抜けて急行の座席に戻り、7人になってもゲームを繰り返していましたが、誰かが「疲れたからちょっと休憩しよう!」といったのを潮時に、なんとなくトランプを片付け、最後のゲームを始めたときの席順のまま、自然とおしゃべりタイムに変わりました。

列車は本州最南端、潮岬を間近に控えた串本に差し掛かる頃。そのタイミングで私の向かいに座っておられたのはショートヘアのボーイッシュで素敵な女性でした。その女性は私に「あの男の人たちとはどういう関係?」と尋ねてこられ、「この列車で初めて知り合いました。」と答えると、色々なことを少年に尋ねてくれました。

「いくつ?」

「中学1年生です。」

「どこから来たの?」

「吹田です。」

「どこへ行くの?」

「新宮です。」

「新宮には親戚か誰かがいるの?」

「いえ、いません。」

「じゃあ何しに行くの?」

「海から昇る初日の出を見に行くんです。」

「へぇ~!」・・・・。

数時間前に同じような会話があったと感じながら、その素敵な女性とのおしゃべりを続けました。それはそれは本当に楽しい時間でした。その女性4人グループも幼馴染で、大阪での仕事を終え、新宮に帰省するところだそうです。

(しつこいようですが、まだ続きます)

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このページは、ウェブ管理者が2023年12月13日 12:28に書いたブログ記事です。

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